補聴器と集音器の違い
2021.04.13
ブログ
こんにちは。代表の久保です。
世の中には聞こえをサポートする機器がたくさんあります。
その代表的なものは、補聴器でしょう。
「補聴器とは何ですか?」と聞かれたら、なんとなくわかる人も多いのではないでしょうか?
では、「集音器とは何ですか?」「補聴器との違いは?」と聞かれたらどうでしょう?
「あまり気にしたことが無かったのでよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?
私は聞こえを補助する機器に接する機会が少なかったこともあり、現在の仕事を始めるまで、
補聴器という言葉は知っていましたが、集音器という言葉は認識していませんでした。
ここでは、補聴器と集音器の違いについて、書いてみたいと思います。
■補聴器は『医療機器』である
補聴器は厚生労働省が定めた一定の基準を満たし、医療機器と認定されたものです。
具体的には、薬機法(旧薬事法)という法律において、「管理医療機器」に分類されており、
販売に関しては営業所ごとに届け出が必要であることと、厚生労働省令で定める基準に該当する
「管理者」を設置する必要があることが定められています。
また、この「管理医療機器」に認定される為には、別途時間と費用をかけて認証を
取得する必要があります。
薬機法に定められる事項の遵守、認証試験のクリアを経て製造販売に辿り着く事の出来るもの、
それが補聴器になります。
■補聴器はオーダーメイド
補聴器は、機能としては、内部のマイクで集音した音を分析し、特定の周波数の音を
増幅(大きく)して耳に届けるものです。
この「特定の周波数」を決めるためには、まず使用者の聴力検査を行い、周波数ごとに
どの音が聞こえやすく、どの音が聞こえにくいのかを把握しておく必要があります。
聞こえは人それぞれ違うため、増幅する周波数と増幅量を個別に細かく調整していく。
この作業はフィッティングと呼ばれますが、これが補聴器の特徴になります。
■補聴器の価格は平均15万円
日本補聴器工業会が2018年に調べたデータによると、補聴器購入者の
1台あたりの費用は平均15万円でした。
これは片耳分という事になりますので、両耳分の購入ならばこの2倍という事になります。
高額な理由は、補聴器に搭載している精度の高い技術と、専門家の調整を必要と
することが挙げられます。
ちなみに、薬機法で定められている管理医療機器ですので、消費税は非課税です。
また、2018年度から補聴器の購入費用は医療費控除の対象になりました。
日本耳鼻咽頭科学会が認定した補聴器相談医の診察を受け、所定の書類を
書いてもらってから購入する必要があります。
■集音器は『家電』と一緒
一方で、集音器は「医療機器」ではありません。厚生労働省から製造や販売についての
特別な制約が設けられていませんので、家電と同じように、量販店や通販販売で
手軽に購入することが出来ます。
また、機能としては、マイクで拾った音を等しく増幅する機能だけが搭載されている商品が多く、
その分補聴器と比較してもリーズナブルな値段で購入することが出来ます。
平均価格の統計は確認できませんでしたが、おおよそ3,000円~30,000円の間
といったところでしょうか。
■聞こえが悪い原因を特定する
ここまで補聴器と集音器の特徴・違いについて述べましたが、
どの機器が自分に合っているのかを確認するには、耳鼻科で聴力検査を
受け、聞こえが悪い原因を特定することが重要になるかと思います。
自分の聴力の低下がどの程度のものなのかは、もちろん意識はあっても、
なかなか自分だけでは明確にわかりませんので、しっかりと耳鼻科での診察を受けて、
その上で耳鼻科医と相談をしながら、どの機器を使うべきか決めるのが最善かと思います。
■まとめ
・補聴器は薬機法に定められた管理医療機器
・補聴器は薬機法の遵守、認証試験のクリアを経て製造販売まで辿り着く
ことが出来る
・補聴器は使用者それぞれに対して個別で調整が必要で、平均価格は約15万円
・集音器は医療機器ではない
・集音器は製造販売に特別な制約が設けられていないため、気軽に購入できる
・集音器はマイクで拾った音を等しく増幅する機能だけが搭載されている
商品が主で、価格は安価
・自分に最適な機器は、耳鼻科での検査によって聞こえが悪い原因を
特定することが重要
■参考
・日本補聴器工業会 http://www.hochouki.com/about/report/
・補聴器販売に関わる法律 https://www.jhida.org/ha-training/pdf/chapter2.pdf